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環境局の試算によると、日本で供給できる再生可能エネルギーは、国内エネルギー需要の最大1.8倍と推計されています。日本国内では、2012年のFIT(固定価格買取制度)開始を皮切りに、企業や家庭での再エネ導入が大幅に増加しており、再エネ電源構成比率は、2011年度の10.4%から2022年度には21.7%と倍増しました。2030年には全体の36~38%を目標に掲げており、国や自治体でも再エネ活用のさまざまな政策を打ち出しています。
2011年当時と比較して、国内の再エネ発電コストは年々低くなっています。しかし、他の先進国と比べるとまだまだコスト高であることには変わりなく、低価格化に向けた技術開発などが進められています。
参照元:環境省 公式サイト(https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19010103.html)
参照元:[PDF]今後の再生可能エネルギー政策について|経済産業省(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/062_01_00.pdf)
水力を除く再生可能エネルギーのうち、最も高い比率を占めるのが太陽光発電です。太陽光発電は、その他の再エネと比べて小規模な敷地でも導入しやすいという利点があり、一般家庭や企業による導入も進んでいます。
一方で、太陽光発電は天候や季節の影響を受けやすく、供給が不安定というデメリットもあります。この課題を解決するため、多くの発電事業者は太陽光パネルと蓄電池をセットで導入し、電力の平準化を図っています。
近年は、ICT技術を組み込んだ次世代電力網、いわゆる「スマートグリッド」技術が進展しています。従来の電力供給システムと異なり、スマートグリッドでは供給側と需要側の双方から制御できるため、電力需給にあわせて柔軟なコントロールが可能です。スマートグリッドで需給バランスを最適化することによって、周波数(電気の品質)が安定し停電などのリスクを回避できます。
xEMSには、対象となる施設に応じて様々なシステムがあり、ビルや家庭、マンション、工場、地域(コミュニティ)などの種類があります。富士電機株式会社の山梨工場では、FEMS(FactoryEMS)の活用により、電気と熱の最適利用による省エネとエネルギー供給リスク回避の両立を実現。クリーンルームの運転制御をFEMSと連携するとともに、排熱を利用したコージェネレーションシステムによって、工場内のエネルギー循環を最適化、電力自給率100%を達成しました。
参考:富士電機株式会社 公式サイト(https://www.fujielectric.co.jp/products/general_facilities_management_service/prize.html)
スマートグリッドやxEMSなど、エネルギーコントロールの技術発展により、再エネの利用可能性はさらに拡大しています。近年では、一般家庭や企業に設置された太陽光発電や蓄電システムをIoTネットワークで連携し、仮想的な発電所のように運用するバーチャルパワープラント(VPP)のしくみが注目を浴びています。VPPではアグリゲーターと呼ばれる調整役を介して、余った電力を足りないところへリアルタイムに供給し、域内の電力需給バランスを最適化します。
VPPでは、供給が不安定な再生可能エネルギーを束ねて連携させることによって、規模のメリットがはたらき電力需給を最適化します。国土が小さく小規模な発電源が分散している日本だからこそ、VPPによる効率的なエネルギーコントロールが大きな効果を発揮します。
参考:経済産業省資源エネルギー庁 公式サイト(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/about.html)
両社のネットワーク技術や産業用蓄電池といった強みを融合させ、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。
設立以来、多数の実証実験を重ね、2026年のVPP(バーチャルパワープラント)の本格稼働に向けLABとして着々と準備を進めています。
日本ガイシとリコーによる合弁会社「NR-Power Lab」では、VPPと電力デジタルサービスの提供により、再エネの普及における課題解決を目指しています。NR-Power Labでは、分散型IDによる分散型エネルギーリソースの信頼性を担保するためにブロックチェーン技術を活用し、従来のデジタル証明書を使った運用よりも手間やコストを抑えたインフラ構築を行っています。
NR-Power Labは、全国16社の地域新電力と連携し、電力の地産地消と地域経済循環を目指す共創を2024年4月よりスタートし、地域新電力各社が蓄積した知見と同社の技術を融合し、地域ごとのニーズに応えるシステムの精緻化に取り組んでいます。
AIと分散型ID技術を活用し、コスト削減と信頼性確保を実現。また、電力デジタルサービスでは、ブロックチェーンにより再エネの流通経路を証明し、効率化を図ります。1年間の実証期間でユーザーの声を反映し、早期の事業化を目指しています。
2050年目標のカーボンニュートラルに向け、今後ますます再生可能エネルギーの活用は拡大する見込みです。再エネ導入のコストは年々下がってきており、またVPPなどの技術革新によってエネルギー需給の効率化はさらに加速しています。FIT終了後もVPPのネガワット契約による売電収益の確保は可能で、需要家の経済的にも持続可能なエネルギー社会が実現しつつあると言えます。
バーチャルパワープラント(VPP)は、分散型エネルギーリソースをIoTで連携し、仮想的な発電所として稼働させる次世代のエネルギー管理システムです。VPPを活用することで、再生可能エネルギーの不安定な供給を調整し、地域ごとの電力需給バランスを効率的に管理できるようになります。再エネの安定供給と持続可能なエネルギー社会に興味がある方は、以下のリンクからさらに詳しくご覧いただけます。
FIP(フィードインプレミアム)制度は、再生可能エネルギー(再エネ)発電事業者に対し、市場価格にプレミアムを上乗せして収益を増やす仕組みです。2022年に開始され、FIT制度とは異なり市場連動型のインセンティブを採用しています。市場価格が高い需要ピーク時に売電することで収益が向上する一方、市場価格に応じてプレミアムが毎月変動するため、収益予測が難しくなるリスクもあります。発電事業者は、売電タイミングを見極める必要があります。
このサイトはVPPを世間の皆様に知っていただくためにNR-Power Lab株式会社をスポンサーとして、Zenken株式会社が運営しています。