太陽光発電などの発電設備を集約・管理し、電力を供給するアグリゲーションコーディネーター。エネルギー資源の最適化に関わる事業者で、仮想発電所(バーチャルパワープラント・VPP)の運用にも深く関与しています。
目次
ここでは、アグリゲーションコーディネーターの役割や具体的な業務などをご紹介します。
アグリゲーションコーディネーターは、電力の利用者(需要側)が持つ発電設備・蓄電池などの分散型エネルギーリソースをまとめ、送配電事業者や小売電気事業者と取引する事業者のことです。設備をまとめるリソースアグリゲーターとは違い、事業者と直接取引を行います。小規模な発電設備を体系的に運用するVPPにおいては、エネルギーの最適化や供給に深く関わっています。
アグリゲーションコーディネーターは需要家と電力市場の間に立ち、電力の需要予測や供給の調整などを行います。これまでの電力は、電力会社が持つ大規模な発電施設で生み出され、配送電網を通して需要家に供給されてきました。一方、太陽光発電など再生可能エネルギーが普及した結果、小規模な発電設備を持つ需要家も増えたのです。
しかし電力は常に需給バランスを取らなければいけません。従来は大規模な発電施設がその役割を担っていましたが、需要家側が持つ小規模な設備を活用することで、電力の安定化を図るデマンドレスポンス(DR)という考え方が生まれました。そのDRを行い、電力の需給バランスの安定化に大きく関わっているのがアグリゲーションコーディネーターです。
アグリゲーションコーディネーターは、こうしたエネルギーの無駄を減らし、資源を適切に利用できるよう管理・制御します。また、必要に応じて需要家へ需要や供給を抑制するよう司令を出す場合もあります。再生可能エネルギーの普及につれ、アグリゲーションコーディネーターの重要性は増しつつあります。
アグリゲーションコーディネーターとVPPは密接に関わっており、2つが組み合わさることでサービスが成り立っています。VPPは、個人宅や企業の事業所に設置された再エネ設備を一括管理・制御する技術を指します。一方、アグリゲーションコーディネーターは需要家とVPP契約を行い、リソースを制御したり小売電気事業者と取引を行ったりします。
アグリゲーションコーディネーターとVPPは、組み合わせることによって効率的かつ安定的な電力の供給が可能になります。それぞれがシナジーをもたらすため、どちらかが欠けると成り立たないのが実情です。
アグリゲーションコーディネーターは、エネルギー市場において需要家と送配電・小売電気事業者をつなぐ中間的な存在となっています。事業者に対して、アグリゲーションコーディネーターは電力を束ねて供給する役割を担っています。一方で需要側に対しては、その時の状況に応じて電力の使用や供給を抑制するよう司令を出します。
このように、需要側と送配電・小売電気事業者の双方に少なからぬ影響力を持つのがアグリゲーションコーディネーターです。
アグリゲーションコーディネーターは、電力の安定化と発電の効率化を測るために多彩な業務をこなしています。
アグリゲーションコーディネーターの主な業務は、エネルギー資源の集約と最適化です。再生可能エネルギーは天候など自然環境の影響を受けやすく、発電量が大きく変わることも珍しくありません。また、再生可能エネルギーの発電設備・施設は小規模なものも多く、個人で所有しているケースも多々見られます。
アグリゲーションコーディネーターは、こうした施設を一つにまとめ、需要と供給のギャップを抑制する役割をこなしています。例えば電力の供給量が需要量を上回った場合、設備・施設の所有者に対して発電を止めてもらうよう指示を出すことがあります。また、需要家に対して蓄電池への充電を勧めるなど、電力使用量を増やすよう要請するケースも見られます。
アグリゲーションコーディネーターは、電力の需要予測や供給量を調整する業務もこなします。電力はためることが難しい一方、需給バランスが崩れてしまうと停電などのトラブル発生リスクが高まります。そのため、リアルタイムな電力需要の予測と供給量の調整が求められるのです。
アグリゲーションコーディネーターでは、電力の需要量を予測するための体制を構築しています。状況によっては需要家に電力使用を控えてもらうなど、電力の需要パターンの制御も実施します。このほか、送配電事業者からの求めに応じてDRを行う場合もあります。
エネルギー資源を最適化するためには、再生可能エネルギーの発電量や電力の使用量などエネルギーに関するデータを分析し、適切に評価することが求められます。アグリゲーションコーディネーターは、一連のデータを分析したうえで、電力の需要や発電量の予測に利用しています。
また、発電設備など各種リソースのリアルタイムな監視も実施しています。供給量の状況などをリアルタイムに監視することで、スピーディな需要パターンの制御や需要側への司令が可能になります。
アグリゲーションコーディネーターはVPPと関わりが深く、さまざまなシナジー効果を生み出しています。以下では、アグリゲーションコーディネーターとVPPがもたらすシナジーについて解説します。
アグリゲーションコーディネーターは、VPPにおける再生可能エネルギーの最適化に寄与します。VPPは再生可能エネルギー発電設備や蓄電池などのリソースを集約し、一つの発電所として振る舞えるようにする技術です。しかし、単にリソースを集約しただけでは意味がなく、需給バランスを取りながら適切に運用することが求められます。
アグリゲーションコーディネーターは、電力の需給バランスを見ながらエネルギー資源の最適化を図る役割を担っています。例えば、VPPで供給状況をリアルタイムに監視し、場合によっては需要家に出力抑制を依頼するなど、フレキシブルな対応が可能になります。エネルギー資源の効率的な使用も実現できるでしょう。
また、アグリゲーションコーディネーターがVPPを利用することで、電力コストを削減できる可能性があります。
電力の需給バランスは、火力発電や揚水発電など大規模な発電所がコントロールするのが一般的です。しかし、コントロールにかかるコストは大きく、発電に使用する資源のロスも生じるおそれがあります。その結果、電気代が高騰して需要家の負担が増える可能性も否定できません。
一方、小規模なエネルギーリソースを集約したVPPなら、状況に合わせて細かくコントロールできます。またリアルタイムな最適化が可能なため、資源のロスも抑えられます。アグリゲーションコーディネーターは、こうした一連のプロセスを監視・調整することで電力コストの削減に寄与します。
アグリゲーションコーディネーターとVPPは、エネルギーの安定供給や信頼性向上に寄与する可能性も秘めています。
停電などのトラブルを防ぐためには、電力などエネルギーの安定的な供給が欠かせません。一方、VPPは分散した小規模なエネルギーリソースを集約・管理し、効率的な電力の供給を可能にする技術です。そこにアグリゲーションコーディネーターが連携することで、電力の需給バランスの適切な状態を維持できるでしょう。
電力の需給バランスが安定化すれば、停電などのリスクを低減できます。電力網も強化されるため、電力供給の信頼性も向上するでしょう。
アグリゲーションコーディネーターは、需要家の発電設備や蓄電池などの分散型エネルギーを集約し、電力会社との取引を通じて電力の安定供給を支援する役割を担います。再生可能エネルギーが普及する中、需給バランスを保つため、リアルタイムの監視や需要予測を行い、電力の最適化を図ります。VPPと連携し、電力コスト削減やエネルギーの安定供給にも貢献します。このメディアではバーチャルパワープラントについてどこよりも詳しく簡単にまとめています。興味を持った方はぜひご覧ください。
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