「地域新電力」とは、地域の再生可能エネルギー(太陽光、風力、小水力、バイオマスなど)を活用して電力を供給し、地域内でエネルギーを循環させる小売電気事業者です。
環境省は、地域新電力を「自治体の関与を伴い、事業利益を地域課題の解決に還元する事業者」と定義しています。
なお、「地域新電力」と「自治体新電力」という用語は、自治体が出資・設立に関与しているか否かで呼び分けられることがありますが、実際には全国で100社近くの地域新電力が自治体と連携して運営されています。
地域新電力は、単なる電力の販売事業にとどまらず、以下のような社会的・経済的なメリットを地域にもたらしています。
地元の発電設備建設や運用による雇用創出が期待され、電気料金収益を地域福祉に還元する自治体もあります。
例:福岡県みやま市では、電力収入を活用し、高齢者見守りや子育て支援などの生活支援サービスを提供しています。
地域特性に応じた再エネ導入が進み、太陽光やバイオマス、小水力などの地場資源を最大限に活用。エネルギーの輸送ロスを抑え、地産地消による効率的な供給が実現します。
CO₂を排出しない電源構成により、地域からの脱炭素化に貢献。さらに、学校や公共施設での「見える化」導入により、住民や児童の環境意識向上にも寄与しています。
地域新電力には多くのメリットがありますが、導入・運用にあたっては以下のような課題も存在します。
規模が小さく、自前の大規模発電所を持たないため、電力の調達コストが高くなりがちです。固定費(人件費・設備投資)負担も重く、採算性確保が難しい傾向にあります。
再エネ普及を取り巻く制度は年々変化しており、「容量市場制度」「FIT制度の見直し」「ノンファーム型接続ルール」など、都度ビジネスモデルの見直しを求められるのが現実です。
資本力や電源確保の面で大手電力と競うのは容易ではありません。価格面では不利なことも多く、地域密着型サービスや再エネ比率の高さでの差別化が重要となっています。
ここからは、地域新電力を活用して再エネの地産地消と脱炭素化を推進する全国の自治体事例をご紹介します。
長井市は、市内すべての市立小中学校(8校)に再生可能エネルギー由来の電力を供給。地域新電力「おきたま新電力」が連携し、小水力発電や太陽光を活用しています。
さらに、電力使用量・発電源・CO₂削減量を可視化する「見える化サービス」を学校に導入し、子どもたちや住民のエネルギー教育にも活かしています。
鹿角市は、地熱・風力・水力といった再エネ資源が豊富で、電力自給率は300%以上を実現。市が49%出資した地域電力会社「かづのパワー」が電力供給を担い、公共施設や民間向けに地産地消を推進。再エネ導入と地元企業支援を両立しています。
森林資源の豊富な真庭市では、間伐材や製材端材を燃料とする木質バイオマス発電を推進。2015年に稼働した発電所は、地域の電力自給率を32.4%にまで引き上げました。林業との連携により、エネルギー・産業・雇用の3軸を強化するモデルケースとなっています。
「Ueno 5つのゼロ宣言」の一環として、太陽光発電+蓄電池+マイクログリッドを導入。災害時にもエリア単位で電力供給を継続できる「自立型の地域エネルギーインフラ」が整備されています。
鹿追町では、畜産業から出る家畜ふん尿や生ごみをバイオガスとして活用。発電・熱利用だけでなく、消化液を農地に還元することで、地域内で資源が循環する「ゼロカーボンモデル」を構築しています。
地域新電力は、再生可能エネルギーの普及だけでなく、地域経済の活性化・防災力の強化・住民の環境意識向上にもつながる重要な取り組みです。
今後も多くの自治体が、地域資源+テクノロジー+地域主体性を融合しながら、自立分散型のエネルギーモデルを構築していくことが期待されます。
両社のネットワーク技術や産業用蓄電池といった強みを融合させ、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。
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