【一般消費者向け】商業施設の太陽光発電導入メリット

目次

商業施設のエネルギーコスト削減への課題

現状のエネルギーコスト分析

昨今、化石燃料の価格高騰や為替の影響により、電力料金の高騰が企業の経営に重くのしかかっています。とりわけ、電力使用量の多い工場や商業施設などは、電力料金の上昇によって利益を圧迫されており、各社が対策を迫られています。

高騰するエネルギーコストに対して考えられる施策としては、電力会社との電力需給契約の見直しやピークシフト、施設内の設備更新によるエネルギーの効率化などが挙げられます。また、自分たちが使う電力を自分たちで生産する太陽光パネルを使った自家発電システムを導入するケースも増えています

再生可能エネルギーの導入の現状

FITやBCP、脱炭素社会などのキーワードのもと、太陽光発電の導入は年々増え続けています。2011年度には10.4%だった再エネ電源構成比は、2022年度には21.7%まで上昇し、太陽光発電の割合も0.4%から9.2%と大幅に増加しました。

一方、再エネ導入は設備投資と運転資金が必要です。これまでは、経営資源に余裕のある大企業が中心となって太陽光発電などの自家発電システムに投資してきましたが、近年は工場や施設を持つ中小企業の設備導入も増加しています。政府の補助金や融資制度などを活用し、再エネを組み込んだ経営計画を立てることで、エネルギーの効率活用と社会環境活動を両立させることが可能になります。

参考:[PDF]経済産業省|再生可能エネルギーの導入状況(https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/pdf/063_s01_00.pdf

商業施設での太陽光発電のメリットとデメリット

商業施設における太陽光発電の導入には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

太陽光発電導入のメリット

太陽光発電を導入することで、自分たちが使う電気を自分たちで発電することができます。これにより小売電力の購入を最小限に抑え、電気代値上げのリスクを回避することができます。

蓄電池と合わせて運用することで電力負荷の平準化が可能となり、電力のピークカットができ、さらなる電気代の削減が可能になります。また、蓄電池は災害時の非常用電源としても有用で、お客様や従業員の安全を守ることにもつながります。

さらに、太陽光発電の導入はCSR的な観点から企業価値向上にもつながります。施設で発電された電力量をモニター掲出するなど、環境に配慮した経営をアピールすることで顧客ロイヤリティ向上も期待できます。

太陽光発電導入のデメリット

太陽光発電の導入には、まとまった初期投資が必要となります。かかったコストを削減された電気代でペイするには長期的な計画が必要な上、発電量は天候に左右されるためシミュレーション通りにいかないケースも考えられます。

太陽光の発電量はパネルサイズにほぼ比例するため、一度に多くの電力を発電するためには多くの太陽光パネルを設置しなくてはなりません。スペース確保や美観への影響など、商業施設ごとに合ったプランを設計する必要があります。

バーチャルパワープラント(VPP)とは何か?

太陽光をはじめとした再生可能エネルギーを効率的に運用する仕組みとしてバーチャルパワープラント(VPP)があります。VPPは、分散型エネルギー源(DER)を遠隔コントロールすることで、仮想的な発電所として再エネの需給バランスを調整するシステムです

VPPでは、余剰電力は足りないところに回され、それでも余る分は必要な時に取り出せるよう蓄電されます。全体の発電量を効率的に使うためには、アグリゲーターによるタイムリーなコントロールが欠かせません。

商業施設におけるVPP導入のメリット

商業施設においてVPPを導入することは、先述した自家発電のデメリットを補って余りあるメリットがあります。

一つは、再エネがVPPにより安定的に供給される点です。一つの商業施設では、発電量も蓄電量も限りがありますが、VPPでは域内の発電・蓄電設備と連携することにより、エネルギー資源をムダなく効率的に利用できます

また、事業者によっては余剰電力をお得に買い取ってくれるサービスもあります。政府のFIT(固定価格買取制度)は発電量に応じて10~20年の買取期限が定められており、その期限を過ぎると売電価格は大幅に下落します。一方、VPPでは発電期間によらず一定条件のもとで買い取られるため、卒FIT後にも収益を上げることができます。

参考:わけトク|東邦ガス 公式サイト(https://waketoku.tohogas.co.jp/

商業施設での太陽光発電導入事例

VPP技術の活用による事例と成功のポイント

東海地方を中心にスーパーマーケット等のチェーン展開を行っている「バロー」では、施設の屋根に設置した太陽光パネルでの自家消費発電を運用しています。バローでは、FIT制度を利用せず、余剰電力を他の電力利用者に供給する『電力循環モデル』を採用しており、AI技術を使った需給予測とコントロールによって再エネ利用・提供に貢献しています。

バローでは、累計186施設(発電容量26.5MW)の自家消費太陽光を導入していました。しかし、比較的電力消費の少ないホームセンターや物流センターでは限定的な導入にとどまっており、今回VPPのアグリゲーション技術を使った電力循環モデルによって、余剰電力を賢く活用することに成功しました。

参考:株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ 公式サイト(https://www.igrid.co.jp/2021/08/30/release20210830/

VPPを導入するには?

VPPに参加するには、まず前提として、太陽光発電、蓄電池、電気自動車などの分散型電源を保有していることが条件となります。その上でアグリゲーターと連携して、どのような形で参加をするかを決定します。

参加の形態は、DRメニュー(ディマンド・リスポンスメニュー)として用意されたもの中から需要家が選択する形が一般的です。アグリゲーターごとに提案できるDRメニューは異なるため、自社の条件にマッチするメニューを選択しましょう。

未来を見据えたエネルギー戦略

CSRやSDGsの観点から、経営戦略の中に再生可能エネルギーを組み込む流れは今後も続きます。環境保全と経済活動の両立に向け、経営者には長期的視点をもった投資の正しい判断が求められています。自社経営に再エネ導入を検討する場合、まずは正しい知識を持った専門家に相談することをおすすめします。

当メディアではバーチャルパワープラントについてどこよりも詳しく簡単にまとめています。興味を持った方はぜひご覧ください。

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