太陽光や風力など、自然界にあるものを活用した再生可能エネルギー。環境への負荷が少なく、資源の枯渇の心配がなことから、導入する企業も増加傾向にあります。再生可能エネルギーは、脱炭素社会を目指すにあたって重要な役割を担っている一方、技術や経済性などの課題も残されています。
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再生可能エネルギーは、繰り返し何度でも利用できるエネルギーの総称です。使用するエネルギー源によって複数の種類に分けられます。
太陽光エネルギー(太陽光発電)は、太陽の熱を利用した再生可能エネルギーです。シリコンなど半導体に太陽光が当たった際に電気が生じる仕組みを利用しています。太陽光発電は日本で広く普及しており、太陽光が当たればよいことから、設置場所の制限が優しいメリットを持ちます。空き地や住宅の屋根、オフィスビル・工場の屋上など、さまざまな場所に設置できます。
また、太陽光発電は比較的技術開発が進んでおり、導入しやすい点もメリットといえます。メガソーラーなど大規模な太陽光発電を構築する事例も見られますが、個人で持ち家に導入するケースも珍しくありません。
一方、発電には太陽光が必要なため、夜間や雨・曇りの日は発電が難しいデメリットも。天候に左右されやすく、発電が安定しないという課題を抱えています。
風力エネルギー(風力発電)は、風の力を利用した再生可能エネルギーです。大きな風車(ブレード)を風の力で回し、その際に得られるエネルギーを電気へと変換します。風力発電は欧米圏で広く普及していますが、日本でも導入が進んでいる電源の一つです。
風力発電は陸上だけでなく、海洋上でも発電できるメリットがあります。設置可能な場所は限られるものの、再生可能エネルギーとして大きなポテンシャルを秘めています。また、ブレードが生み出すエネルギーの変換効率が高く、多くの電気を生み出せる点も強みです。太陽光発電とは違い、夜間や雨・曇の日でも発電できます。
一方、風力発電は発電コストが高く、経済性が大きな課題となっています。設置場所周辺の環境アセスメントや、地元の理解・調整が必要なことから、設置までには長い時間がかかります。
水力エネルギー(水力発電)は、水の流れを応用した再生可能エネルギーです。水の流れで発電機を動かして電気を生み出します。水力発電は、水資源の多い日本でポピュラーな再生可能エネルギーの一つで、主に大規模なダムに設置されています。一方で小規模な水力発電の建設も進むなど、まだ開発余地の残された電源となっています。
水力発電のメリットは、発電が自然条件に左右されにくい点です。水の流れがあればよいため、太陽光・風力発電と比較して安定した発電が期待できます。また、日本では技術的に成熟した再生可能エネルギーであり、ノウハウを活用した発電所の建設・運用が可能です。
しかし、水力発電は河川や水源の綿密な調査が必要で、地域の水利権にも少なからず影響を与えます。開発を進めるためには、水源周辺の地域住民や利害関係者の理解・協力を得ることが不可欠といえるでしょう。
再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力以外にも多種多様な種類があります。
地熱発電は、地中にある熱を利用した再生可能エネルギーで、日本では温泉地でよく見られます。バイオマス発電は、木くずや食品廃棄物などの生物資源を活用した再生可能エネルギーです。循環型社会の構築に寄与すると期待されています。潮力発電は海水の流れ(海流)を利用した再生可能エネルギーで、技術開発が進められています。
再生可能エネルギーは課題が多いものの、高い発電ポテンシャルを秘めています。脱炭素やESG経営を目指す企業においても、再生可能エネルギーの導入は選択肢の一つになるでしょう。
年々普及が進んでいる再生可能エネルギーですが、いくつかの課題も抱えています。
日本における再生可能エネルギーの発電量は、2021年度に全発電量の20.3%(※1)を占めるほどになりました。特に国土面積あたりの太陽光発電容量や、再生可能エネルギーの設備容量は主要国の中でもトップクラスです。資源の乏しい日本では特に重要な電源と位置付けられており、エネルギー自給率の改善にも大きく寄与しています。
2011年の時点では、再生可能エネルギーが全発電量に占める割合は10.4%(※2)しかありませんでした。しかし、10年で全発電量に占める割合がほぼ2倍になっています。特に一気に普及したのが太陽光発電で、固定価格買取制度(FIT)が始まってから主要な電源の一つとなりました。
また、風力発電やバイオマス発電など他の電源も徐々に増えており、日本の再生可能エネルギーの普及に貢献していることが伺えます。
一方、再生可能エネルギー普及の課題となっているのがコストです。太陽光発電や風力発電などは、導入する際に多額の初期投資が求められます。しかし、発電量は自然条件に左右されるため、投資額をいつ回収できるかは不明瞭です。
また、設備のコストは年々下がっているものの、他の電源と比べて高いのが実情です。設備コストの高さから、導入に二の足を踏んでいる企業も少なくはありません。
再生可能エネルギーは、経済性を高めるための技術開発も進められています。例えば変換効率の高い太陽光パネルの開発や、設置コストが安価な風力発電の施工技術開発などです。こうした技術開発が進めば、再生可能エネルギーの経済性はより高まる可能性があります。
今後も再生可能エネルギーの普及は進むと考えられていますが、より効率的な運用を確立するためには、仮想発電所(バーチャルパワープラント・VPP)が重要な要素になってくるでしょう。VPPは、再生可能エネルギーや蓄電池などのリソースをIoT技術で制御する技術をいいます。身の回りの電源を制御することで、仮想的な発電所として機能させられます。
VPPは発電量が不安定な再生可能エネルギーの欠点を緩和させ、安定的な電力の供給に寄与するものとして注目を集めています。日本が脱炭素社会へと進むにつれ、今後は再生可能エネルギーをVPPによって制御する事業者が増えると考えられます。
VPPは世界各地で注目を集める技術で、日本でも導入や実証実験が進められています。メリットも多く、導入によってさまざまな効果がもたらされます。
VPP導入のメリットは、再生可能エネルギーの需給バランスを調整できる点にあります。
太陽光や風力など一部の電源は発電量が不安定で、日によって多くの余剰電力が生まれてエネルギーの無駄が生じる場合があります。一方、VPPによって適切に制御すれば、無駄が減ることで需給バランスが改善され、効率的な運用が可能になります。電力の需給バランス調整にかかるコストの削減も期待できるでしょう。
また、災害時の停電リスクも低減できます。VPPは小規模な設備を集約して管理できるため、災害時の電力供給維持に貢献します。大規模停電などのトラブルへのリスクヘッジも図れるでしょう。
VPPは再生可能エネルギーの効率を高めるとともに、日本のエネルギー問題の解決に寄与する技術として期待されています。日本では、各地でVPPを活用した取り組み・実証実験が行われています。今後VPPの技術や仕様が確立されて実用化に目処が立てば、全国で普及が進んでいくでしょう。
当メディアではバーチャルパワープラントについてどこよりも詳しく簡単にまとめています。興味を持った方はぜひご覧ください。
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設立以来、多数の実証実験を重ね、2026年のVPP(バーチャルパワープラント)の本格稼働に向けLABとして着々と準備を進めています。
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