地球温暖化やエネルギー安全保障の課題が深刻化する中、「再生可能エネルギーによる電力の地産地消」や「VPP(バーチャルパワープラント)」、「蓄電池」の活用が注目されています。地域内で電力の生産・消費を完結させる取り組みは、CO₂排出削減だけでなく、エネルギーロスの低減や災害時のレジリエンス向上にも寄与することが期待できます。以下に、再生可能エネルギーを軸にVPPや蓄電池を活用した地域主導の脱炭素モデルを展開する先進自治体を紹介します。
長井市は、市立小中学校8校の消費電力を100%再生可能エネルギーに切り替えました。地域新電力「おきたま新電力」を通じて、東北おひさま発電と野川土地改良区が運営する小水力発電から電力を供給し、年間約658トンのCO₂を削減しています。さらに、NR-Power Labの「電力の見える化サービス」を導入し、児童・生徒や住民がリアルタイムで電力の使用状況や発電源を確認できる仕組みを構築。これにより、地域の理解と参加を促進し、エネルギー教育を推進しています。
鹿角市は、豊富な再生可能エネルギー資源を活用し、地域電力会社「かづのパワー」を設立。市が49%出資し、地域内で発電された電力を地元で消費するモデルを構築しています。主な電源は、大沼地熱発電所、永田水力発電所、田代平風力発電所などで、電力自給率は300%を超えています。
浜松市は、全国トップクラスの日照時間を活かし、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの大量導入を進めています。市内で発電された電力の80%を地域内で消費し、公共施設や民間企業、すべての公立小中学校に供給しています。
真庭市は、間伐材や製材から出る端材など未活用の木材を活用し、2015年から木質バイオマス発電所を稼働しています。これにより、地域の森林資源を有効活用し、持続可能な林業とエネルギーの融合を実現。雇用創出や地場産業の振興にも貢献しています。
上野村は、太陽光発電と蓄電池によるマイクログリッド構築を推進しています。木質バイオマスによる熱利用やガス化発電も組み合わせ、災害時でもエネルギーを自立的に供給できる体制を整備。地域エネルギーの安定供給と環境配慮を同時に実現する、スモールスケールのVPP実証地域です。
鹿追町は、バイオガスプラントを核とした地域資源循環型のまちづくりを推進しています。家畜排泄物や生ごみをエネルギーに変換し、地域で出たものを地域で活かす完全循環型の再生可能エネルギーモデルを構築しています。さらに、自営線ネットワーク等を活用した再生可能エネルギーの最大導入・活用事業を展開し、環境性・防災性・経済性の向上を同時に実現しています。
再生可能エネルギーの導入拡大には、発電の変動性という課題があります。ここで鍵となるのが、VPP(バーチャルパワープラント)と蓄電池です。VPPは、複数の小規模電源や需要家の蓄電池などを統合制御することで、仮想的な大規模発電所として機能させる技術。需給バランスの調整や需給予測、ピークカットなどに有効です。蓄電池の活用により、昼間の太陽光電力を夜間に活用するなど、時間的な補完も可能になります。これらの技術の組み合わせによって、自治体は再生可能エネルギーの「質」と「量」の両面で高度な活用が可能となり、以下のような多面的なメリットが生まれます。
VPPを活用することで、天候や時間帯によって変動する再生可能エネルギーを全体で適切に制御することが可能に。これにより、CO₂排出の少ない電力を安定的に供給でき、地域全体での脱炭素化を効率的に推進できます。
蓄電池の導入により、停電時でも最低限の電力を確保できる体制が整います。特に病院や避難所などの重要施設を中心とした“自立分散型”の電力ネットワークが構築されれば、災害時のライフライン維持に大きく貢献するでしょう。
地域内で電力の発電・消費・制御を完結させるモデルは、地域経済の内部循環を促進します。さらに、電力関連設備の管理、運用、保守といった新たな雇用機会も創出され、地元産業の活性化にも直結します。
再生可能エネルギーとVPP・蓄電池を組み合わせることで、外部依存度の低いエネルギー体制が構築可能になります。とくに離島や山間部など、送電線整備が難しい地域では、「エネルギーの地産地消+VPP」はエネルギー体制として良い選択肢の一つとなり得るでしょう。
このように、再生可能エネルギー×VPP×蓄電池という次世代型の電力地産地消モデルは、脱炭素社会の実現に向けた有力なアプローチです。
すでにいくつかの先進自治体がこのモデルを導入し、地域住民の理解と参加のもとに持続可能なエネルギー社会を築いています。
地球環境を守りながら、地域経済も強くするこの取り組みは、今後、全国各地に広がっていくことが期待されます。
両社のネットワーク技術や産業用蓄電池といった強みを融合させ、再生可能エネルギーの普及に貢献しています。
設立以来、多数の実証実験を重ね、2026年のVPP(バーチャルパワープラント)の本格稼働に向けLABとして着々と準備を進めています。
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